購入前には十分な調査が必要
新型コロナウイルスの感染拡大によるリモートワークの普及や外出自粛によってよりよい住環境を整えたいという方が増え、住宅の購入需要が高まりました。
しかしながら、購入検討を始めたはいいものの理想の条件で探すと新築は高すぎるので中古物件にしたという方も多いようです。
そこで今回は全国の中古物件の購入経験者116人に聞いた「中古物件を買って失敗したことランキング(※)」を発表します!
中古物件の購入検討している方はぜひ参考にしてください。
※株式会社アールピーネット調べ
中古物件を買って失敗したことランキング
第1位:予想以上に費用がかかる
今回のアンケートで最も多かった回答は「想定外の費用の発生」でした。「購入後に修繕費が高くなった」「新築に比べてメンテナンスにお金がかかる」など、購入前や購入時に想定していなかった費用面に悩む方が多いようです。
一見新築よりも購入金額が安く見える中古物件だからこそ見かけの金額に惑わされず、「補修費用をちゃんと見積もっておく」「外壁や給湯器など修繕にお金がかかる部分の耐久年数を調べておく」など中長期的なトータルコストの見通しが大切なのです。
▼購入者の声
価格が安かったので中古物件を購入しましたが、改修費用が高かったので、結局新築が買えるくらいの金額になってしまいました(20代女性)
新築ではないので、購入後のランニングコストが予想以上にかかったこと。購入後1年以内に給湯器とエアコンが壊れ交換しました(30代男性)
要修理の場所がみつかると、その都度工事費用がかかることです。中古物件ですからある程度覚悟はしていましたが、想定外のことも起こりました(40代女性)
第2位:汚れ・キズ・劣化が気になる
続いて中古物件ならではの劣化や損傷に関する回答も多く寄せられました。「扉が閉まりにくい」「購入前には気づかなかった壁紙のシミが気になる」など1~2回の内見では気づけないポイントに後悔する方が多いようです。
中古物件を見るときは “遠慮せずに時間をかけて見る” ことが重要です。内見には仲介会社の担当者や管理会社の方が同行するため長時間の内見は気を使ってしまうかもしれませんが、何千万円もする買い物をすることを考えれば長い時間をかけることは当たり前のことで、不動産関係者はそこも理解しているので気を使うことなく隅々まで確認しましょう。
居住中の物件の場合はさらに気を使ってしまいがちですが、その場合は「高い買い物なのでしっかりと見ておきたい」「長時間居座ってしまって申し訳ない」という意をきちんと居住者さんに伝えたうえでしっかりと確認することをおすすめします。
▼購入者の声
床などに細かな傷が見つかったときに、失敗したなと思いました(20代男性)
居住中に内覧しました。引き渡し後に家具家電がない状態で見ると、内覧時には隠れていた部分の損傷や汚れが多く見られたので、残念に思いました(30代女性)
リノベーションしたのでパッと見はキレイなのですが、細かい部分や見えない所に経年の劣化があります(40代男性)
第3位:設備の不具合
第3位には築年数の経過した中古物件ならではといえる設備まわりの不具合がランクイン。なかには内見時や購入時に確認した際は大丈夫だったのに、購入翌年から様々な設備で不具合が起きはじめたという人も。とくに水回りの設備で不具合が起きたという声が多いようです。
内見時には水周りや床周りなど表面上きれいに見えるところも念入りにチェックしたうえで、少しでも気になることがあれば売主や仲介会社に質問しておく方がよいでしょう。
また水道管の状態など、間接的に設備の不備や支障につながる部屋以外の建物や内部についても注意が必要です。
▼購入者の声
設備が中古のため、傷がついていた(30代男性)
長い間使われていなかったので、水回りの配管がボロボロでした(40代女性)
IHなど、設備の不具合が起こりやすい(50代女性)
第4位:瑕疵(かし)があった
中古物件における瑕疵とは、“経年劣化とは認められない家の欠陥” のことで、雨漏りやシロアリ、土壌汚染などを指します。
購入した中古物件に瑕疵があったという人たちからは「目につきにくいところも購入前にしっかりチェックすべき」「買ってからではどうにもならないことがあるので、購入前に仲介業者に細かく質問すること」などのアドバイスが寄せられています。
物件の売買には必ず売主に「瑕疵担保責任」というものがあり、一定の瑕疵については売主側が負担をすることがありますが、購入からの経過年数や適用範囲には限りがあるため、購入前には各設備の瑕疵担保の内容を確認しておきましょう。
▼購入者の声
脱衣所にシロアリが発生した(20代女性)
見た目ではわかりにくい雨漏りなどの欠陥があった(30代男性)
第5位:近所付き合いの苦労
いざ住んでみてから、「近隣住民とのトラブルがあった」「周辺に年配の人しか住んでいない」などご近所さんとの関係に悩まされる方も多いようです。
昨今では「隣人の顔が分かるほうが怖い」「女性の一人暮らしだとバレる方が危険」など、防犯上の意識から近所付き合いを避ける傾向もあるようですが、物件を購入する以上は隣人との関係は100%避けることは不可能なのできちんと調べておく必要があります。
ご近所同士の情報は比較的プライベートなことなので調べにくくはありますが、仲介会社に聞いてみる、管理人さんに直接聞いてみるなどできる限りの調査をして、納得したうえで購入することがおすすめです。
またどんな家族構成の方が多く住んでいるのかを聞いておくことで、子どもの足音やピアノの音など発生しうるトラブルを想定することもできます。
▼購入者の声
昔から住んでいる方が多く、人付き合いに苦労しました(30代女性)
隣の住人について調べなかったことは失敗でした。隣人夫婦は二人とも夜型生活で、生活音で子どもが夜眠れなくなってしまいました(40代女性)
第5位:立地・周辺環境に不満
購入前に気づけそうな立地や周辺の環境に関する悩みも多く寄せられています。
学校や駅への距離や目の前の道路や建物からの音、日差しなどは内見時には「これくらいなら大丈夫か」と思ってしまいがちですが、いざ住むとなると話は別なので済んでからのイメージを十分に沸かせることが肝心です。
また購入時には建っていなかった建物が近くに立ったり、自身の体調や健康状態が変わることもあるので長期的な生活をイメージすることも大切です。
▼購入者の声
小学校と中学校がとても遠いので、子どもたちの通学に時間がかかり大変でした(40代女性)
購入してからわかったのですが、隣の工場が予想以上にうるさかった(50代男性)
第7位:カビ・湿気がひどい
古い住宅で断熱材が適切に施工されていないと、湿気やカビが発生しやすくなります。湿気やカビは家の劣化にもつながるため、中古物件購入時には断熱性能の調査をしたうえで「断熱リフォーム」を検討するのもいいかもしれません。
▼購入者の声
断熱材が不十分でカビが生えやすい(30代女性)
カビがひどい。浴室などあっという間に生える(40代女性)
第7位:使いにくい間取り・デザイン
「間取りがライフスタイルに合っていない」「作り付けの家具のデザインが古い」という声も寄せられました。物件購入は必ずしも希望の条件に合った物件が買えるわけではため、購入後にやっぱり気に入らない、妥協しきれないと後悔する方も少なくないようです。
フルリフォーム前提で買う場合でも、家自体が古くて排水管やキッチンなど規格に合うものが少ない、おしゃれなものが選べないというケースもあるので要注意です。
▼購入者の声
寝室が広すぎたり、ムダな廊下があったり、変な設計だった(30代女性)
間取りについて、使いにくい、住みにくいと感じる点がある(60代以上男性)
プロの考察
株式会社AlbaLink 代表取締役 河田憲二氏
中古物件を買って失敗したランキングの1位は「費用がかかる」という結果でしたが、そのあとに続く「劣化」、「不具合」、「間取り」などもお金をかければ解決できる問題と言えます。物件選びの時は後悔しないように妥協できる範囲を明確にし、気になる箇所は修繕をいれておくことが大切です。
ただ、カビや湿気、季節が変わった時の環境などは一度や二度の内見ではなかなかわからない部分もあります。物件の状態や近所の方の雰囲気など、可能な限り下調べをして購入することをおすすめしますが、あくまでも中古は中古です。中古物件を買うと決めた以上、築年数に伴う劣化とは付き合っていく覚悟も必要になるかもしれません。
監修者紹介
独学にて不動産賃貸業・不動産売買業の知識を学び大家業、不動産管理業、不動産売買業など不動産関連の会社を数社経営。これまで手がけた物件はシェアハウス、旅館、築古アパート、コワーキングスペース、貸会議室、新築、賃貸併用住宅など多岐に渡る。運営する訳アリ買取PRO(https://wakearipro.com/)では年間3,000件以上の不動産売買に関わる相談を受けている。個人としても自宅用として中古物件・新築物件を取得している不動産の専門家。
調査会社概要
会社名 | 株式会社アールピーネット |
代表 | 代表取締役 鈴木良太 |
所在地 | 札幌市中央区大通西26丁目2-10 プライムパーク717 |
設立 | 2008年1月 |
資本金 | 110万円 |
URL | https://www.run-pro.net/company.html |
事業内容 | WEBメディアの運営・コンサルティング |