地震や台風被害を受けたマンション価格はどうなる? 浸水・停電被害を受けた武蔵小杉に見るマンション価格の変化

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起きてから考えたのでは遅い

2021年10月7日(木)に東京23区で10年ぶりに震度5強の地震が計測されたことで、改めて地震や台風などの自然災害の恐怖を突き付けられました。

また同年7月には静岡県の熱海市で大規模な土砂災害が発生するなど、地域を問わず自然災害への備えは余儀なくされています。

防災セットなど自身の身を護る備えはもちろんですが、マンションを所有している方は被災後の売却価格を不安に感じることも多いのではないでしょうか。

そこで今回は過去に浸水・停電被害を受けた武蔵小杉のマンションを例に、自然災害を受けたマンション価格の変化を紹介したいと思います!

また、なるべく自然災害の被害を受けないようにするためのコツも紹介するので参考にしてください。

災害被害による物件価格の下落は一時的

中古マンションの売買アプリ「カウル」を運営する株式会社Housmart(https://housmart.co.jp/)が、2019年に台風被害を受けた武蔵小杉エリアの中古マンションの売り出し価格や売り出し件数にどのような変化があったのか調査したところ以下のような結果でした。

2019年10月(上図内、緑線)、台風19号により神奈川県川崎市中原区の武蔵小杉エリアは多摩川が氾濫し大きな被害を被り、一部のタワーマンションでは地下の電気設備が浸水し停電となり、トイレやエレベーターが数日間停止するなどの事象が起こりました。

これによって「物件価格が下がるのではないか」「売れなくなるのではないか」などの憶測が飛び交い一時は売却控えが発生しましたが、結果的に物件価格自体は下落せず物件数も元の状態に戻りました。

現在では新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、中古マンション市場全体の売出物件数が縮小傾向にあり、反比例する形で物件の平米単価は上昇傾向にあります。武蔵小杉においても市況と同じ動きをしており、落ち着きは見せつつも物件価格は上昇しています。

この結果から災害被害による物件価格への影響は一時的で、それよりも市況による影響が大きいことがわかりました。

もちろん地域や物件自体の環境・条件にもよるため一概にはいえませんが、大型の地震や台風などの自然災害が発生した後はネット上の情報などに惑わされず冷静な売却活動を意識しましょう!

購入後の被災の可能性を減らすには

災害リスクを調べる

豪雨や台風被害を受け、近年では仲介会社は不動産取引時に水害リスクについてに顧客に説明することが義務付けられていますが、基本的には自分でも調べてみることをおすすめします!

国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト(https://disaportal.gsi.go.jp/)」では、指定した住所や地域の回りでどんな災害が起こりうるのかを調べることができます。

マップ上に「洪水(想定最大規模)」「土砂災害」「高潮(想定最大規模)」「津波(想定最大規模)」「道路防災情報」「地形分類」などを自由に重ねて表示できる『重ねるハザードマップ』と、各市町村が作成したハザードマップを入手・閲覧することができる『わがまちハザードマップ』を活用して、購入検討中の地域の災害リスクをあらかじめ調べておくことで被災の可能性を減らすことが可能です。

当該エリアの被災記録を調べる

水害や風害、土砂崩れなどはそもそもの場所や地盤に由来するもの多いため、過去に被災歴があるエリアでは比較的再発の可能性が高いです。

発生後に自治体による対策がなされていたとしても、台風のルート上に位置するなどどうしても変えられない要因が存在することは事実なので、最大の対策は “再発リスクの少ない物件を買うこと” といえます。

そのためには検討している地域(都道府県、市区町村)の被災記録を調べるのがよいでしょう。多くの自治体では被災記録を公開しており、HP上や役所で閲覧することができます。

※画像は武蔵小杉が属する川崎市の被災記録ページ

防災対策計画を調べる

一定レベルの防災対策は自身でできたとしても護岸工事など大規模な防災対策は当然自分ではできないため、都道府県や市区町村などのい自治体が行うほかありません。

マンションなどの物件を購入をする際には検討している地域(都道府県、市区町村)の防災計画を調べてみましょう。ほとんどの自治体ではHP上に防災計画を公開しているので無料で閲覧することができます。

正しい災害対策が行われれば購入後のマンション価格向上の一助になる可能性もあるので、情報収集は手を抜くことなくしっかりとやっておきましょう!

※画像は武蔵小杉が属する川崎市中原区の防災計画ページ

まとめ

武蔵小杉の事例から、もしも地域が地震や台風の被害を受けたとしてもマンション自体の価格には “すぐに”、“大きく” 影響は出ないため、信ぴょう性の低い情報に左右されず落ち着いて売却を進める必要があります。

ただし、地域だけでなく売却する物件自体も浸水などの被害に遭った場合は絶対に隠さず仲介会社へ正確な情報を伝えるようにしましょう。隠して売却し、引き渡し後に隠ぺいが発覚した場合には瑕疵担保責任を問われるだけでなく、賠償を求められる可能性もあるので要注意です!

また被災後のマンション価格下落に怯えないためにも、購入時に災害リスクを意識した情報収集を徹底しましょう。

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