物件価格の約10%増までは覚悟が必要…
マンションを購入する際、多くの人は「SUUMO(スーモ)」のような一括検索サイトや、「ノムコム」などの不動産会社公式サイトを使って物件をさがすかと思います。
この手の検索サイトでは希望条件を入力しながら物件を絞り込んでいくことが多いのですが、その際に設定する価格帯の上限にはどうしても自身がイメージしている(=ここまでならギリギリ払えると思っている)金額を入力してしまいがちです。
ただし、実はマンション(不動産)の購入には物件価格以外に多くの諸経費がかかるため、自身が払えるギリギリの額で物件価格を絞り込んでしまうと最終的な諸経費まで払うことができなかったり、払えてもその後の家計に差し支える可能性があるので注意が必要です。
資金計画で失敗しないためにも具体的な検討の前にマンション購入にかかる主な費用と、諸経費について詳しく知っておきましょう。
特に中古マンションの場合は中古物件ならではの費用もかかるので、きちんとイメージしておくことが重要です。
購入にかかる主な費用
物件価格
これは言わずもがなですが物件そのものの価格で、検索サイトなどで物件情報として掲載されている金額です。
多くの方がマンション価格としてイメージするのはこの価格だと思います。
頭金(手付金)
物件の購入価格に対して住宅ローンを利用せずに現金で支払う金額で、マンションや中古物件の場合は物件価格の約5%~10%が目安となります。
頭金を支払うことで借り入れの総額が減ることや、金利が優遇されることから頭金を支払うことが一般的ですが、頭金なしで購入することも可能です。
またこの頭金は売買契約後のキャンセルにおける違約金にもあてられ、買主都合でキャンセルする場合は頭金の2倍支払う、売主都合でキャンセルする場合は頭金を全額返済することでキャンセルが成立することが多いです。
仲介手数料
物件をさがす際に仲介をお願いした会社に支払う手数料で、一般的に「成功報酬」といわれています。
仲介手数料には法規制による上限額があり、以下の計算式で算出されます。
(物件価格の3% + 6万円)+消費税
例:2,000万円(税別)の物件を購入した場合
(2,000万円×0.03+60,000円)+66,000円=726,000円(税込)
上記はあくまでも仲介手数料の“上限”であり仲介会社によってこの範囲内で手数料が異なるので、マンションを安く買うためには複数の仲介会社に見積りを依頼したうえで、仲介手数料も比較することが重要になります。
何も言わなければ法規制の上限値が適用されることが多いので、物件価格の相談とともに手数料の値引きを合わせて相談するようにしておきましょう。
不動産登記費用
マンションをはじめ不動産は所有者などの権利関係を明確にしておくために、取得した際には不動産登記の手続きを行う必要があり費用が発生します。
この手続きは司法書士に依頼する必要があり(※)、詳細な見積り上では登記を受けることに対して課税される「登録免許税」と、司法書士へ支払う「司法書士報酬」を合わせて「登記費用一式」とされるケースが多いようです。
登録免許税は以下の計算式で求められますが、物件の条件によって軽減税率が適用されるので、購入検討時には仲介会社にあらかじめ聞いておくのがよいでしょう。
上記の通り登録免許税は決まった計算方法があるのに対し、司法書士への報酬額はそれぞれの事務所が報酬額を決めているため、地域や事務所によって大きな開きがあります。
納得感を得てマンションを買うためにも、登記費用の見積もりをもらった際には内訳がどうなっているのかを仲介会社に聞いてみてください。
※不動産登記は自身で行うことも可能ですが、専門知識と法務局へ出向く時間が必要になるので、なるべく司法書士へ依頼することをおすすめします。
印紙代(売買契約用)
不動産購入の売買契約書には印紙を貼る必要があり、1万円の費用がかかります。
費用一式の中では比較的少額な支出ですが、絶対に発生する費用なので認識しておきましょう。
また、住宅ローンを組む場合には売買契約用の印紙とは別に「住宅ローン契約書」に貼付する印紙代が別途発生します。
固定資産税
1月1日時点で住宅やマンション、土地を所有する人に必ずかかる費用で、マンションを購入した際には物件の引渡し日を基準に日割りで精算をするのが通例です。
管理費・修繕費
中古マンションの場合、直前の所有者(不動産会社やオーナー)が前払いしている管理費・修繕費を引渡し日を基準に日割りで精算をするのが通例です。
住宅ローン事務手数料
これは住宅ローンを組むための手続きを代行した仲介会社に支払う費用ですが、必ずしも支払う必要がある項目ではありません。
初めて不動産を購入する素人に対し、不動産会社は当たり前のようにこの費用を請求項目として入れてきますが、住宅ローンの手続きを自分でやった場合には支払う必要がなくなります。
事務手数料の相場は5~50万と幅が広いことを鑑みても、非常にあいまいな項目であることは明らかでしょう。
また、銀行への手続きを代行するといっても審査手続きや書類の準備程度なので、自身でも全然やれてしまう内容ばかりなのです。
時間がある方は初期費用の節約のためにも代行を依頼しないことや、値引きを申し入れることをおすすめします。
住宅ローンにかかる初期費用
住宅ローン事務取扱手数料
ローン借入時に必ずかかる費用で、借入金額に対して一定の割合がかかるタイプ(定率型)と、借入金額に関わらず一定の金額がかかるタイプ(定額型)があります。
物件価格(≒借入金額)によりますが、3~10万円程度が目安になります。
保証料
多額の住宅ローンを借り入れるために保証会社へ支払う費用です。
万が一債務者(借り入れた方)が金融会社への返済ができなくなった場合に保証会社が肩代わりする仕組みに必要な費用となります。
銀行や住宅ローンの商品によっては保証料不要な場合もありますが、金融機関が貸倒れのリスクを負うため借り入れ条件が厳しくなることがあるので注意が必要です。
印紙代(住宅ローン契約用)
住宅ローン借り入れのために結ぶ「金銭消費貸借契約」の契約書に貼付する印紙の代金です。
印紙代金は契約金額ごとに決まっています。
文書(契約書) | 記載された契約金額 | 印紙税額 |
不動産売買契約書 建築請負契約書 金銭消費貸借契約書 など | 1万円未満 | 非課税 |
1万円以上10万円以下 | 200円 | |
10万円超50万円以下 | 400円 | |
50万円超100万円以下 | 1,000円 | |
100万円超500万円以下 | 2,000円 | |
500万円超1,000万円以下 | 10,000円 | |
1,000万円超5,000万円以下 | 20,000円 | |
5,000万円超1億円以下 | 60,000円 | |
1億円超5億円以下 | 100,000円 |
火災保険料
住宅購入における火災保険への加入は任意ですが、住宅ローンを組む場合、金融機関の融資条件に火災保険への加入が定められているケースがほとんどですので、実質は必須といえます。
火災保険料は補償内容をどこまで含むかによって異なります。
一般的な火災、水害による損害までにするのか、風災・雪災や落雷などの自然災害まで含むのかなど選択肢に加え、盗難や家財の破損なども補償対象に含めることができます。
ただし、当然補償内容を手厚くした分だけ保険料は高くなるので、その後の資金計画を踏まえて検討することが大切です。
地震保険に入るべきか
火災保険を検討する際、必ずと言っても過言ではないほど加入を迷うのが「地震保険」でしょう。
火災保険のオプション項目の一つで、地震・噴火、および地震・噴火によって起きた津波が原因で発生した火災・損壊・埋没・流出による損害を補償するものです。
地震大国の日本では入っておくほうが安心ですが、加入すれば当然保険料が高くなるのでメリット・デメリットをよく調べて検討してください。
費用サンプル
ここまでお読みいただきマンション購入にはどんな費用がかかるのかお分かりいただけたかと思います。
もっと具体的なイメージを沸かせるために、以下のサンプルをご覧ください。
※4,000万円の物件を購入した場合
物件価格 | 40.000,000円 |
仲介手数料 | 約1,400,000円 |
登記費用一式 | 約350,000円 |
契約書印紙代(売買契約) | 約20,000万円 |
固定資産税 | 約50,000万円(※半年で計算) |
管理・修繕費 | 約30,000万円 |
住宅ローン事務手数料(仲介会社) | 約50,000万円 |
住宅ローン事務取扱手数料(銀行) | 約50,000万円 |
保証料 | 約800,000万円 |
契約書印紙代(ローン契約) | 約20,000万円 |
火災保険料 | 約200,000万円 |
諸費用合計 | 約2,970,000万円 |
費用合計(物件価格+諸費用) | 約42,970,000万円 |
ご覧の通り、4,000万円の物件を購入したとしても約300万円ほどの諸費用が必要になります。(※)
実際には現在の住まいから引っ越す引越し代や、今よりも広い家に住んだ場合に買い足す家具代などもかかってくるため、資金計画を立てる場合にはもう少し上乗せして考えておいたほうがよいでしょう。
発生する費用と項目、そしてその内訳をきちんと理解しておくことで無駄な支出を抑えることができるので、ぜひ参考にしてみてください!
※各種契約内容や補償範囲、オプション項目などによって大幅に金額は前後します。